SPIは発達障害や病気があってもできるWEBテストなのでしょうか?
後ほどご紹介しますが、SPIは発達障害発見装置であるという意見を述べている人もいます。
本記事では発達障害とSPIの関係について発達障害の専門家の意見も交えながら詳しく解説していきます。
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発達障害とは?病気の一種?
まずは発達障害とは何かについて解説しておきます。
厚生労働省によると発達障害は発達障害者支援法で以下のように定義されています。
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの
出典:厚生労働省
発達障害者支援法は2004年に制定され、2005年に施行された法律です。
発達障害のある人への適切な支援の推進を目的に制定され、発達障害のある人が必要に応じて福祉サービスなどの支援を受けることが可能になりました。
現在は発達障害者支援センターが全国に設置され、発達障害に関する相談の受付や治療方法のアドバイスなどが行われています。

発達障害のある人の多くは学力の獲得が困難であると言われています。
文部科科学省の調査によると発達障害のある子どものおよそ7割が学力の獲得が困難な状況にあると推定されています。
しかし、発達障害は生まれつきの脳の特性であり、病気とは異なるものとされています。つまり、発達障害=病気ではないのです。
SPIは発達障害だとできない?専門家の意見もご紹介
上記でも解説した通り、発達障害のある人の多くは学力の獲得が困難であると言われていますが、SPIでは能力検査という受検者の学力を測定するための検査が用意されています。
能力検査では言語・非言語・英語・構造把握の4科目が用意されています。
※言語=国語、非言語=数学のことです。
SPIの能力検査では中学・高校で学習する基礎的な内容をもとにした問題が出題されます。
出題される問題の例は以下の通りです。
【言語の例題】
以下に示された二語の関係を考え、同じ関係の対になるように【 】にあてはまる言葉を選択肢1〜5の中から1つ選びなさい。
地球温暖化:環境問題、サッカー:【 】
- ラグビー
- 球技
- ゴール
- ボール
- シュート
【解答&解説】
地球温暖化は環境問題の一種です。サッカーは球技の一種なので、答えは2・・・(答)です。
※その他の言語の問題を知りたい人は「SPIの言語対策・頻出分野・練習問題などを完全解説!これだけ読めば大丈夫」をご覧ください。
【非言語の例題】
P・Q・Rの3人が10点満点のテストを受けた。3人の点数について以下2つのことがわかっている。
- 3人の合計点は26点だった。
- Pの得点はQの得点よりも3点高かった。
このとき、Rの得点は何点だったか求めよ。
【解答&解説】
P・Q・Rの得点をそれぞれp、q、rとおきます(0≦p≦10、0≦q≦10、0≦r≦10)
1よりp+q+r=26、2よりp=q+3が成り立ちます。
p=q+3をp+q+r=26に代入して整理すると、2q+r=23となります。
これを満たすqとrの組み合わせは(q、r)=(10、3)(9、5)(8、7)(7、9)の4通りです。
ただし、これらの中でp=q+3と0≦p≦10を満たすものは(7、9)だけです。
よってRの得点は9点・・・(答)であることがわかります。
※その他の非言語の問題を知りたい人はSPIの非言語(数学)を完全解説した記事をご覧ください。
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【英語の例題】
説明文に意味が最も近いものはどれか。選択肢1〜5の中から1つ選びなさい。
a mountain with a large hole at the top through which lava (hot molten rock) and ashes are ejected at times
- iceberg
- cape
- valley
- peninsula
- volcano
【解答&解説】
説明文の日本語訳は以下となります。
頂上にある大きな穴から、時々溶岩(熱い溶けた岩)や灰を吹き出す山
選択肢の日本語訳は以下となります。
- iceberg=氷山
- spouse=配偶者
- valley=谷
- peninsula=半島
- volcano=火山
よって答えは5・・・(答)です。
※その他の英語の問題を知りたい人は「SPIで英語は出ない?対策法・時間は?英語があるかないか事前に調べる方法と企業一覧」をご覧ください。
【構造把握の例題】
※構造把握には言語系の問題と非言語系の問題の2種類があります。本記事では言語系の問題をご紹介します。
次のア〜オを指示にしたがってP(2つ)とQ(3つ)に分けるとき、Pに分類されるものはどれとどれか答えよ。
【指示】次のア〜オは2つのことがらの関係についての記述である。その関係性の違いによって、PとQのグループに分けなさい。
ア:昨日はお酒を飲みすぎた。今日は体調が悪かった。
イ:急に電話がかかってきた。お客様からのクレームのようだ。
ウ:台風の影響で風が強くなった。暴風警報が発令された。
エ:昨日は布団を着ずに寝てしまった。風邪をひいてしまった。
オ:通勤途中に人に道を聞かれた。迷子になってしまったようだ。
【解答&解説】
アとウとエは前半の文章が原因、後半の文章が結果を表しています。
イとオは前半の文章が結果、後半の文章が原因を表しています。
よって答えはイとオ・・・(答)になります。
※非言語系の構造把握の問題も解きたい人は「SPIの構造把握とは?例題とコツもご紹介!出るかどうかを事前に判別する方法・高得点指標は?」をご覧ください。
また、SPIには能力検査だけでなく性格検査という受検者の性格や思考の傾向を測る試験も用意されています。
SPIの性格検査では以下のような質問が用意されています。
【例題】
(1)〜(5)の質問は、あなたの日常の行動や考え方にどの程度あてはまるか。最も近い選択肢を1〜4の中から1つ選びなさい。
- Aに近い
- どちらかといえばAに近い
- どちらかといえばBに近い
- Bに近い
(1)A:目標は大きいほうがよい、B:目標は手の届くところにあるほうがよい
(2)A:目上の人の意見には基本的に従う、B:目上の人の意見でも間違ったことには従わない
(3)A:人に喜んでもらえる仕事がしたい、B:自分が成長できる仕事がしたい
(4)A:宴会ではおとなしくしているほうだ、B:宴会では盛り上げ役だ
(5)A:何もしないで後悔するより、失敗して後悔するほうがいい、B:失敗するくらいなら何もしないほうがいい
性格検査は約30分で約300問もの質問に回答しなければなりません。
単純計算すると、1問あたり6秒のペースで回答していく必要があります。
発達障害のある人の傾向として物事を素早く処理するのが苦手というのがありますが、それに該当する人は試験時間内にすべての質問に回答できない可能性があります。
※性格検査の詳細についてはSPIの性格検査を例題で完全解説した記事をご覧ください。
用意されたすべての質問に回答できないと受検者の性格や思考性が上手く測定できず、選考に落とされてしまう可能性が高まります。
実際にX(旧Twitter)を見てみても、SPIと発達障害に関して以下のようなポスト(ツイート)をいくつか発見することができます。
働く人を見下すのは違うけど、実際働かない方が社会貢献になる人間はいるのだ…
障害者が働いても健常者は足を引っ張るやつと一緒に働きたくないというのだ
会社は発達障害者、精神障害者を避けるためSPI検査や適応検査をやるのだ
社会の態度は発達、精神障害者を働かせたくないように見えるのだ
出典:@rtriari45
なぜ発達障害は資格や学歴は優れていても仕事は駄目か?資格試験や入学試験は時間に余裕が十分あり過ぎる。しかし仕事は時間に余裕がなく常にスピーディにミスなく処理しないといけない。そこで処理速度が低いタイプの発達障害が発覚してしまうきっかけになる。またSPIなどの適性検査でも発覚しやすい
出典:@red_autism
発達障害者を採用する/しないは企業側の都合とか色々あるから、それは別に構わないのだが、SPIや不適性検査等のツールを利用して都合良く発達障害者を爪弾きにして選別するのは完全に差別だからな。21世紀のナチズムそのものじゃん。
出典:@ashiberse
また、発達障害を持つ人たち向けの就労支援や人材紹介事業を運営している株式会社Kaienの代表取締役を務めている鈴木慶太さんは「SPIは発達障害の人たちをはじきやすい試験になっており、SPI=発達障害発見装置と考えてもいいくらいだ」という見解をご自身のYouTubeチャンネルで発信しています。

ちなみにですが、鈴木慶太さんによると障害者採用の場合は基本的にSPIの受検は不要になるとのことです。
また、野村総合研究所の調査によると、現在は発達障害がある人のうちADHDの診断がある人の約8割、ASDの診断がある人の約6割が障害者採用枠ではなく一般採用枠での雇用で就業しているとのことです。
SPIの結果が悪かったからといって発達障害とは限らない
ここまで発達障害とSPIの関係について解説してきましたが、「SPIの結果が悪かったから、自分は発達障害なのではないか」と不安に感じてしまう人もいるかもしれません。
しかし、SPIの結果が悪かったことと発達障害には、直接的な因果関係があるわけではありません。
SPIができない理由は、対策不足であることがほとんど
SPIの能力検査は中学・高校で学習する内容がベースになっていますが、多くの受検者は学校を卒業してから何年も経過しており、公式や解き方を単純に忘れてしまっているケースが大半です。
実際に、SPIを何の対策もせずに受けて思うような点数が取れなかったという声は、発達障害の有無にかかわらず非常に多く見られます。
SPIができないことのほとんどは、事前の対策不足や、試験特有の時間制限に慣れていないことが原因です。
緊張や体調、その日のコンディションも大きく影響する
SPIは制限時間がタイトな試験であるため、緊張して普段の実力を発揮できなかったり、当日の体調によって集中力が続かなかったりすることも珍しくありません。
「いつもは解ける問題なのに、本番では急に頭が真っ白になった」という経験がある人も多く、これは発達障害の有無とは関係なく起こり得ることです。
自己判断で結論づけるのは避けるべき
発達障害の診断は、本来であれば医師などの専門家による問診や検査を通じて行われるものです。
SPIの結果という一つの出来事だけを根拠に、「自分は発達障害に違いない」と自己判断してしまうのは早計です。
逆に、本当に発達障害の特性による困りごとを抱えている場合でも、それを見過ごしてしまう可能性もあります。
SPIの結果に限らず、日常生活や仕事において継続的に「物事の処理に時間がかかる」「集中力が続かない」といった困りごとを感じている場合は、SPIの結果をきっかけとしてではなく、発達障害者支援センターや医療機関といった専門機関に相談してみるのも一つの選択肢です。
専門家に相談することで、自分の特性を正しく理解し、必要な対処法を知ることができます。
SPIの結果は、あくまでその日のその試験における一つの結果に過ぎません。
一喜一憂しすぎず、次にどう対策していくかを考えることの方が、建設的な向き合い方だと言えるでしょう。

発達障害の診断がなくてもSPIに苦手さを感じる人はどうすればいい?
発達障害の診断を受けているわけではないものの、「時間内に解ききれない」「問題文を読むのに人より時間がかかる気がする」など、SPIに対して漠然とした苦手さを感じている人もいるでしょう。
診断の有無にかかわらず、こうした苦手さを感じている場合にできる対処法をご紹介します。
自分がどこで時間を使っているのか、具体的に把握する
苦手意識だけで終わらせず、実際に問題を解きながら「どの分野で時間がかかっているのか」「読解に時間がかかっているのか、計算に時間がかかっているのか」を具体的に把握することから始めましょう。
原因が明確になれば、対策すべきポイントも絞り込みやすくなります。
時間を計りながら、少しずつ制限時間に慣れていく
処理速度に苦手さを感じている場合、いきなり本番と同じ制限時間で解こうとすると、余計に焦りが強くなってしまうことがあります。
最初は少し長めの時間で解く練習から始め、徐々に本番に近い制限時間に慣れていくという段階的なアプローチもおすすめです。
模擬試験などを活用し、本番形式に少しずつ慣れておくとよいでしょう。
※「SPIの模擬試験(模試)を受けられるWEBサイト7選!全部無料!特徴もご紹介」もぜひ参考にしてください。
頻出分野に絞って、確実に解ける問題を増やす
出題範囲全体を満遍なく対策しようとすると、時間もかかり、苦手意識も強くなりがちです。
まずは頻出分野に絞って、確実に解ける問題を一つずつ増やしていくことを優先しましょう。
「解ける」という感覚が増えることで、本番での焦りや苦手意識も和らぎやすくなります。
※頻出分野の詳細は「SPIで頻出!優先順位高く対策すべき問題を例題付きで科目別にご紹介!就活生・社会人必見」をご覧ください。
対策をしても苦手さがなかなか改善されない、あるいは日常生活や勉強・仕事の他の場面でも同じような困りごとを感じている場合は、発達障害者支援センターなどの専門機関に相談してみるのも一つの選択肢です。
診断の有無にかかわらず、専門家に相談することで、自分に合った工夫や対処法のヒントが得られることもあります。
SPIは制限時間が非常にタイトな試験であり、発達障害の診断の有無にかかわらず、苦手意識やプレッシャーを感じる人は少なくありません。
「自分だけができない」と思い詰めすぎず、対策を積み重ねながら、必要に応じて周囲や専門機関の力を借りるという選択肢も持っておくとよいでしょう。

発達障害のある人がSPIを受検するときに使えるおすすめ手段
障害者採用枠ではなく一般採用枠での雇用で働きたいと思っている発達障害の人はSPIが必要ない企業に応募するのも1つの手段です。
令和3年6月1日時点で日本には368万社もの企業が存在しています。
そのうちSPIを選考フローに導入している企業はわずか15,500社(2023年3月期実績)です。これは日本の企業数全体の1%にも満たない数字です。
つまり、SPIを導入している企業は実はほとんどないのです。
※詳細は「SPIが必要ない企業・会社を大手中心にご紹介!ない理由・特徴も解説」をご覧ください。
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発達障害がある人向けの就職支援サービス・相談窓口
SPIをはじめとした就職活動全般について、一人で悩みを抱え込む必要はありません。
最後に、発達障害がある人が実際に頼ることのできる、公的な相談窓口・支援サービスをご紹介します。
ハローワークの専門援助部門
多くのハローワークには、障害のある人向けの専門援助部門が設置されています。
個々の障害特性に応じたきめ細かな職業相談を行っており、就職の準備段階から職場定着まで一貫したサポートを受けることができます。
福祉・教育などの関係機関と連携した「チーム支援」という体制も整えられています。
精神・発達障害者雇用サポーター
ハローワークには「精神・発達障害者しごとサポーター」という専門の担当者が配置されています。
障害特性を踏まえた専門的な就職支援や、就職後の職場定着支援を行っており、「不採用が続いてつらい」「障害のことをうまく伝えられない」といった悩みについて、予約制で個別相談ができる窓口を設けているハローワークもあります。
お住まいの地域のハローワークに、対応の可否や予約方法を問い合わせてみるとよいでしょう。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害のある人やその家族に対して、生活全般に関する相談支援、発達支援、就労支援、情報提供などを行う都道府県の機関です。
就職活動に関する相談だけでなく、日常生活における困りごとについても幅広く相談できます。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターでは、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助といった専門的な職業リハビリテーションを受けることができます。
就職に向けた具体的なトレーニングを希望する場合に活用できる支援機関です。
民間の就労支援サービス
上記の公的機関に加えて、発達障害のある人向けの就労移行支援事業所や、人材紹介サービスを提供している民間企業もあります。
こうしたサービスでは、就職活動の進め方に関するアドバイスだけでなく、応募先企業とのやり取りのサポートを受けられる場合もあります。
「どの窓口に相談すればよいかわからない」という場合は、まずは最寄りのハローワークや発達障害者支援センターに問い合わせてみることをおすすめします。
窓口ごとに得意な支援内容が異なるため、相談する中で、自分の状況に合った次の支援先を案内してもらえることもあります。
一人で抱え込まず、こうした支援を積極的に活用しながら、就職活動を進めていきましょう。



