2022年11月に女子大生のWEBテストを代行したとして大阪府に在住する男性:田中信人さんが逮捕されました。
この男性が逮捕される前からWEBテスト・SPIの代行サービスは数多く存在していましたが、今はほとんどのサービスがこの事件をきっかけに消滅しています。
そこで今回はSPIについて日本トップレベルに詳しいSPIマスターの私カズマがWEBテスト・SPI代行サービスに関して読者の皆様が知りたいであろうこと(男性がWEBテストの代行で逮捕された理由やWEBテスト代行の実態、歴史、リスクなど)を完全解説していきます。
※「SPIとは?対策方法や問題・例題をすべて紹介!適性検査SPIはこれで完璧だ!」もぜひ合わせてご覧ください。
WEBテスト・SPIを受検予定の就活生や転職活動中の社会人は絶対に自力で受検するようにしてください。
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WEBテスト・SPI代行サービスとは?いつから登場?
WEBテスト・SPI代行サービスとはその名の通り、WEBを代行してくれるサービスのことです。
※WEBテスト=SPIではありません。SPIはWEBテストのあくまでも一種です。
WEBテスト・SPI代行サービスはいつから存在していたのか?についてですが、調査したところ2011年には存在していることが確認できました。
2011年1月22日にJ-CASTニュースで「就活ウェブテスト意味あるのか 「東大生代行」サービスが出現」という記事が公開されていました。
記事内で紹介されているWEBテスト代行サービスは数々の有名企業から内定を獲得した現役東大生がWEBテストを1件あたり1万円で代行していたとのことです。
冒頭にもある通り、WEBテストを代行した男性は2022年11月に逮捕されているので、少なくともWEBテスト・SPI代行サービスは10年以上も昔から存在していたことがわかります。
そして、その後は数々のWEBテスト・SPI代行サービスが登場することになり、2020年頃になるとテレビやAbemaなどの大手マスコミでもWEBテストの代行に関するニュースが少しづつ取り上げられるようになってきました。
WEBテスト・SPI代行サービスの料金
WEBテスト・SPI代行サービスにはホームページなどをしっかりと用意して業者として運営されているものとX(旧Twitter)のみで運営されているものの2つがありました。
2024年現在でもX(旧Twitter)で「WEBテスト 代行」と検索すると以下のようにたくさんのアカウントが登場します(大半が今はもう稼働していないアカウントです)
調査したところ、ホームページなどをしっかりと用意して業者として運営されているWEBテスト・SPI代行サービスの料金相場は1件あたり10,000円〜15,000円、X(旧Twitter)のみで運営されているWEBテスト・SPI代行サービスの料金相場は1件あたり2,000円〜4,000円といったところでした。
今回逮捕された男性は1件あたり4,000円でWEBテストの代行を実施しており、4年間で累計約4,000件の代行を実施していたとのことです。
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今までに存在していたWEBテスト・SPI代行サービス
今までに存在していたWEBテスト・SPI代行サービスの例としては以下のようなものがあります。
※以下すべてのサービスがホームページなどを用意して本格的に運営していましたが、今はすべて閉鎖されています。
- 東大生によるWEBテスト代行サービス
- WEBテスト代行センター
- Tentrust
- Web Test Solutions
それぞれについて詳しくご紹介していきます。
東大生によるWEBテスト代行サービス
「東大生によるWEBテスト代行サービス」はその名の通り、東大生が運営していたWEBテスト代行サービスです。
料金はかつて存在していたすべてのWEBテスト・SPI代行サービスの中で最も高く、1件あたり2万円程度でした。
オプションとして追加料金を支払えば、対面での代行受検や受検画面の録画などにも対応していました。
WEBテスト・SPI代行サービスの中で最も知名度が高いサービスだったのではないかと思います。
WEBテスト代行センター
「WEBテスト代行センター」はGoogleやYahoo!などの検索エンジンで「WEBテスト 代行」と検索すると、一番上に表示されるサービスでした。
当時はかなり売上・利益が立っていたものと思われます(筆者の推定売上は月100〜200万円です)
料金は1件あたり1万円程度で比較的安めでしたが、詐欺サービスだったという声も多数あります。
実際にYahoo!知恵袋では以下のような投稿が見られます。
先日、webテスト代行センターに代行を依頼しました。
webテスト攻略.comという業者も気になっていたのですが、料金がwebテスト代行センターの方が安かったので、選んでしまいました。
だけど、結果は不合格だったので合格保証の返金をお願いしたのですが、何の返答もなく困っています。
電話番号の記載もなく、ホームページを見ても会社ではないみたいなので、騙されたのかと不安で投稿しました。誰か実際に依頼された方がいたら、どのような感じだったのか教えていただけませんか?
webテスト代行センターは、質問者さまの言う通り、最悪です。
私も利用したことがあったのですが、全て落ちました。
返金保証ってうたってるくせに返金してもらえず電話番号も教えてもらえず・・・
Tentrust
「Tentrust」はもともと「旧帝大生が運営するWebテスト代行(以下画像)」というサービス名で運営されていたWEBテスト・SPI代行サービスです。
料金は9,500円で、代行実績は4,500件以上もありました。
Zoomで画面共有をしながらの代行受検や日付指定・即日対応なども可能でした。
※「SPIは画面共有できない?バレる3つのケースをご紹介します」もぜひ参考にしてください。
Tentrustに改名後は以下のようなX(旧Twitter)アカウントが開設されていました。
Tentrustについては2024年1月時点でX(旧Twitter)のフォロワー数が約6万人もいる「Omochi」さんが以下のポスト(ツイート)をしており、バズっていました。
『旧帝大生が運営するWebテスト代行』ってのが仮に本当だとして、旧帝大って最低限のモラルも身に付かないんだね。
出典:@ib_kiri
別に違法ではないだろうけど、モラル的に堂々とビジネス化してマネタイズするヤツも、こんな中身もわからない輩が運営してるサービスに頼るヤツも、控えめに言って頭イカれてると思う。
Web Test Solutions
「Web Test Solutions」も有名だったWEBテスト・SPIu代行サービスの1つです。
累計代行数は2021年2月時点で3,235件を超えており、料金は1件あたり15,000円程度でした。
LINEで簡単にWEBテストの代行を依頼することができ、LINEの会員数は3,000人以上もいました。
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WEBテスト代行の実態
WEBテストには受検者が好きな場所・好きな時間にテストを受検できる形式のもの(自宅受検型)と、企業が用意した会場でテストを受検するもの(会場受検型)の2パターンがあります。
前者の自宅受検型に関しては受検者の好きな場所・時間に受検可能なので、ある意味代行・替え玉がし放題の環境です。
このような環境の隙を突いて、WEBテスト・SPI代行サービスを使わなくとも、頭のいい友達や知り合いなどにWEBテストを代行してもらっている人が一定数存在するというのは就活生の間で有名な話でした。
就職情報会社のディスコが2021年に学生およそ1200人を対象に実施したWEBテストに関する調査によると「自身のWEBテストの受検の際に不正行為をした」と回答した学生は8.4%、「友人の不正を手伝ったことがある」と回答した学生は9.3%とのことです。
つまり、およそ20%ものの学生が今までにWEBテストの受検において不正行為を行ったことを認めています。
企業側としても当然このような代行・替え玉が行われていることは把握しており、どうしても代行を防ぎたい企業は、企業が用意した会場でWEBテストを受検させる方式を採用しています。
※会場でWEBテストを受検する場合は受検前に本人確認が行われるので、代行や替え玉が行われるリスクはほとんどありません。
しかし、会場でWEBテストを受検する方式(会場受検型)を採用する場合、受検者が好きな場所・時間で受検する方式(自宅受検型)よりもコストが高くなってしまうという企業側のデメリットはあります。
企業側のメリット | 企業側のデメリット | |
---|---|---|
自宅受検型 | コストが安い | 代行・替え玉受検リスクがある |
会場受検型 | 代行・替え玉受検リスクがほとんどない | コストが高い |
今となっては、かつて数多くのWEBテスト・SPI代行サービスが登場してきたことを受けて、自宅受検型でも受検者を監視し、代行を防止するシステムがいくつか登場しています。
例えば株式会社ヒューマネージは「TG-WEB eye」というAIが替え玉受検やカンニングを検知するシステムを企業に提供しています。
※詳しくは「TG-WEB eyeとは?見分け方や対策方法・URLは?完全解説!」をご覧ください。
しかし、今回逮捕された男性は監視型のWEBテストすらも代行をしていました。
監視をすり抜ける方法として、依頼者である女子大生がワイヤレスイヤホンを装着し、遠隔で男性がイヤホンを通してWEBテストの答えを指示していたとのことです。
ワイヤレスイヤホンは女子大生の髪に隠れており、監視型システムもそれを検知することができなかったとのことです。
WEBテストを代行した男性はなぜ逮捕された?
WEBテストを代行した男性は私電磁的記録不正作出罪という罪で逮捕・起訴され、執行猶予4年・懲役2年半の判決が言い渡されました。
私電磁的記録不正作出とは簡単に言うと、他人の電子データを不正に作成することです。
WEBテストの回答データは本来WEBテストを受検する人自身のものであり、第三者が回答して(代行して)作成した回答データは不正に作出されたデータと言えます。
私電磁的記録不正作出罪は5年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる犯罪です。今回WEBテストを代行した男性は初犯であるにも関わらず、執行猶予4年・懲役2年半の判決が下されており、かなり重めの判決であることがわかります。
※そもそもなぜ男性によるWEBテストの代行がバレたのか?についてはWEBテスト代行はなぜバレたのか?について解説した記事をご覧ください。
また、この男性にWEBテストの代行を依頼した学生3人は書類送検されています。
WEBテストの代行で逮捕された男性はどんな人?
WEBテストの代行で逮捕された男性の本名は田中信人(たなかのぶと)さんで、関西電力株式会社に勤務する会社員でした。
逮捕された2022年11月時点の年齢は28歳で、学歴は滋賀県立森山高校→京都大学→京都大学大学院という華々しい経歴の持ち主です。
田中信人さんは京都大学大学院に在籍しているとき、友達から「WEBテストの代行スタッフにならないか?」と誘われ、1件あたり2,000円程度の報酬でWEBテストの代行をこなしていたとのことです。
※その友人はWEBテスト・SPI代行サービスを組織として運営していたものと推測されます。
上記でも解説した通り、WEBテスト・SPI代行サービスの料金相場は1件あたり10,000円〜15,000円程度です。
決して安い金額とは言えないでしょう。そこで田中信人さんは「自分が組織のスタッフとしてWEBテストの代行をこなすのではなく、自分が独立してお客様から1件あたり2,000円程度の報酬を受け取れば、自分の報酬は変わらずに、お客様は今よりも安い料金でWEBテストの代行を依頼することができるのでは?」と考え、組織からの独立を決意しました。
そして、以下のようなX(旧Twitter)アカウントを開設し、お客様を集客することにしました。
アピールポイントとしては上記画像の通り「京都大学大学院卒」や「通過率95%以上」を謳っていました。
また、信憑性を高めるため、定期的にお客様とのやり取りをしているLINEのスクショをポスト(ツイート)していました。
その結果、集客は成功し、田中信人さんは数年にわたり400万円程度の報酬を得たということです。
1件あたり2,000円とすると、400万円÷2,000円=2,000[件]程度のWEBテストを代行をしてきたということになります。
ちなみにですが、田中信人さんが運営していた上記のX(旧Twitter)は現在、田中信人さんが飼っている猫を紹介するアカウントに生まれ変わっています。
現在、WEBテスト・SPI代行サービスはすべて消滅?
WEBテストを代行した男性の逮捕を受け、WEBテスト・SPI代行サービスの大半はホームページやX(旧Twitter)アカウントを削除し、サービスをクローズしています。
しかし、現在でもごく一部だけWEBテストを代行している業者や人はいると思われます。
実際にX(旧Twitter)で「WEBテスト 代行」と検索すると、例えば、以下のアカウントを見つけることができます(本記事を執筆している2024年時点の情報です)
このアカウントのツイートを見る限り、今もなおWEBテストの代行を実施していると思われます。
WEBテスト・SPI代行のリスク
WEBテストを他人に代行してもらった場合のリスクとしては主に以下の3つがあげられます。
- 企業の選考が不合格になる・内定取消しとなる
- 社会的信用を失う
- 今後、SPIの受検が一切不可になる
それぞれ詳しく解説していきます。
企業の選考が不合格になる・内定取消しとなる
WEBテストを代行してもらったことがバレた場合、選考を受けていた企業は間違いなく不合格になるでしょう。
すでに内定を獲得していた場合はその内定が取り消しになる可能性が極めて高いです。
猛省している姿勢を見せ、仮にその企業への入社が許されたとしても、社内の人間からは「WEBテストを代行してもらって入社した人」というレッテルを貼られるので、社内の居心地は決していいものとは言えないでしょう。
社会的信用を失う
WEBテストを代行してもらったことがバレた場合、その情報が同じ業界内で広まる可能性もあります。
例えば広告業界のA社の選考を受け、WEBテストの代行がバレたとします。
すると、A社以外の広告業界の企業にもその情報が共有され、広告業界の各社から選考を受けさせてもらえなくなるという可能性もあります。
WEBテストの代行は社会的信用を失ってしまう極めてリスクの高い行為です。
今後、SPIの受検が一切不可になる
例として、WEBテストの一種であるSPIの代行がバレた場合、選考を受けている企業からSPIを制作・企業に販売している株式会社リクルートマネジメントソリューションズに連絡がいき、今後SPIの受検が一切不可となる可能性も十分にあります。
SPIを導入している企業は1万社以上もあります。SPIのブラックリストに入ると、1万社以上もの企業が受検候補から消えることになります。
※「SPIが必要ない企業・会社を大手中心にご紹介!ない理由・特徴も解説」もぜひ参考にしてください。
有名企業や大手企業ではSPIの導入率が高いので、これはかなりの痛手になります。
WEBテストの代行は絶対にやめましょう。
🔽 本にも載ってない極秘情報 🔽
いかがでしたか?
今回はWEBテスト・SPI代行サービスの歴史や実態などについて解説をしていきました。
WEBテストを代行してもらって人生を棒に振るのは非常にもったいないです。リスクとリターンが明らかに見合っていない行為なので、WEBテストは必ず自力で受検しましょう。